「無縁仏(むえんぼとけ)」という言葉を聞いて、不安や心配を抱いたことはありませんか?
無縁仏とは、供養してくれる家族や親族がいない遺骨や墓を指す言葉で、近年は少子化や高齢化の影響でその数が増加傾向にあります。では、実際に無縁仏になった場合、誰が費用を負担するのでしょうか?また、そうならないためにはどうすればいいのでしょうか?
この記事では、無縁仏にかかる費用や発生のタイミング、家族や本人ができる備えについて詳しく解説します。
目次
無縁仏とは?基本的な定義と背景
無縁仏とは、供養や管理をする家族・親族がいないために、個別のお墓としての管理がされなくなった故人のことを指します。お墓が放置され、管理費が支払われず、名義人との連絡もつかない状態が一定期間続くと、墓地の管理者が「無縁仏」として扱うことになります。
高齢化・少子化による継承者不足が背景に
近年、子どもがいない・独身・遠方に親族しかいないといった事情で、墓を継承できない家庭が増えています。その結果、管理されないお墓が増え、墓地側が対応に苦慮するケースも増加中です。
こうした社会背景のもと、「無縁仏にならないためにはどうすべきか」が多くの人にとって現実的な問題になっています。
無縁仏にかかる費用と発生タイミング
無縁仏そのものには、故人側が直接費用を払うわけではありませんが、撤去や供養、納骨にかかる費用が管理者側または家族に発生します。知らない間に遺族が費用負担を求められるケースもあるため、事前の理解が大切です。
墓じまい・合祀にかかる費用(管理者負担 or 遺族負担)
お墓が無縁と判断されると、墓地管理者は公告(官報・現地掲示)を経て墓石を撤去し、遺骨を合祀(ほかの遺骨と一緒に納める)する手続きを進めます。
このときにかかる費用は、墓地ごとのルールにより管理者側が負担する場合と、残された遺族に請求される場合の両方があります。
- 墓石撤去費用:10万〜30万円
- 合祀納骨料:3万〜10万円
- 永代供養料:5万〜20万円(施設による)
これらは地域や施設の運営方針によって差があります。公告後も連絡がつかない場合は、管理者判断で合祀・撤去が行われることになります。
無縁仏を避けるためにできること
無縁仏になるのを防ぐには、生前の準備(終活)と家族への情報共有が何よりも大切です。「自分には関係ない」と思わず、今のうちからできる備えをしておきましょう。
生前に永代供養を契約する
永代供養とは、家族に代わって霊園や寺院が長期にわたり供養と管理を行うサービスです。契約時に費用を支払えば、たとえ後継者がいなくても無縁仏になるリスクを大きく減らすことができます。費用は一般的に10万〜50万円程度で、プランによって個別埋葬型・合祀型が選べます。
家族・親族への共有と遺言の作成
「どこの墓地に入る予定か」「何を希望しているのか」といった情報を家族に伝えておくことで、納骨や管理の判断がスムーズになります。エンディングノートや簡易な遺言でも、書き残しておくことで無縁になるリスクを避けられます。
無縁仏となった後の遺骨の扱い
もし家族が亡くなった後に連絡がつかず、既に「無縁仏」として扱われていた場合、残された人が後から対応することもできます。故人の遺骨がどのように扱われるのかを知っておくことで、万が一のときに冷静に対処できます。
合祀墓や合同納骨堂に移されるのが一般的
無縁仏となった遺骨は、寺院や霊園内の「無縁塔」や「合祀墓」に移されることが多いです。この場合、個別のお墓に戻すことは基本的にできませんが、納骨記録が残っていれば場所の確認や供養の申し込みは可能です。
遺骨の引き取りには身元確認と手続きが必要
親族であれば、必要書類を提出することで、遺骨の引き取りや再納骨も可能です。ただし、無縁仏として合祀された場合、すでに他の遺骨と一緒になっているため、取り出せないことがほとんどです。対応が遅れるほど自由が利かなくなるため、早めの対応が望まれます。
まとめ
無縁仏になると、遺骨は合祀墓へ移され、墓石撤去や永代供養にかかる費用が管理者または家族に発生することがあります。トラブルを避けるためにも、生前に永代供養の契約をしたり、家族と希望を共有したりといった準備が大切です。
無縁仏にならないようにするためには、「誰にも迷惑をかけたくない」という思いを行動に移すことが必要です。将来の安心のためにも、できるところから備えを始めてみましょう。