葬儀後、遺骨は自宅に帰って四十九日まで祭壇で保管します。四十九日を過ぎたら寺院や霊園に納骨するのが一般的ですが、宗教観や価値観、ライフスタイルの変化、また愛する人の旅立ちに気持ちの整理がつかないなどの理由から自宅で保管することを選ぶ方が増えています。
この記事では、自宅での遺骨の置き方や注意点などについて紹介します。
遺骨は自宅で保管してもよいのか？
遺骨は四十九日の法要が終わったらお墓や納骨堂に納めて供養するのが一般的です。自宅において供養することを「手元供養」と呼んでいて、近年はお墓を持たないという選択肢をする方も増えています。
しかし、四十九日を過ぎた遺骨はいつまで自宅で保管していいのか、疑問に思う方もいることでしょう。
日本には墓地・埋葬に関して定めた「墓地埋葬法」があり、その中で遺骨は自治体が認めた場所に埋葬や納骨をすることが定められています。
遺骨を自宅で保管する期間などについては定められていないため、自宅で保管することについてはルール違反ではありません。ただし、自宅の庭などに遺骨を埋めて保管するのは法律に抵触してしまうのでしないようにしましょう。
葬儀後に遺骨を自宅で保管するときの置き方
「手元供養」を選んだ場合の自宅での遺骨の置き方は、仏間や仏壇に遺骨を置くスペースを設けたり、葬儀後から四十九日までに使用していた後飾り祭壇を解体せずそのまま利用して供養スペースにする場合もあります。
近年は親族が亡くなって初めて自分の家系の宗教を知ると言う人も増えており、そもそも家に仏間や仏壇がない家庭も多いです。
新たに仏壇を購入する人もいますが、中にはリビングの片隅にあっても違和感のないようなおしゃれなデザインの骨壷や骨箱を選んで、リビングに溶け込むような洋風の供養スペースをつくる方もいます。
自宅での遺骨の置き方は、家のつくりやライフスタイルによってさまざまです。遺骨の置き方に決まったルールはないので、思い思いの方法で故人を弔うとよいでしょう。
遺骨を安置するための「後飾り」とは
後飾り祭壇とは、葬儀後に遺骨を安置するために自宅にこしらえる祭壇のことです。仏教では、故人が亡くなってから四十九日の間は、極楽浄土へ行けるかの修行を行う期間といわれています。
故人はまだ修行をしていて成仏しているわけではないので、後飾り祭壇に遺骨をおいて法要を行っています。
後飾り祭壇には、遺骨や白木位牌、一輪挿しや香炉、鐘、ろうそく台、お供え物などが飾られていて、故人の供養を行います。また、通夜や葬儀に参列できなかった方が弔問に訪れたときにお参りしてもらうときにも使用します。
基本的には葬儀が終了してから四十九日の法要までに使用するものなので四十九日が終わったら解体して処分するものなのですが、手元供養を選んだ場合にはそのまま使用しても構いません。特に家庭に仏間や仏壇が無い方の場合は、解体せずにそのまま利用されるケースが多いです。
遺骨を自宅で置くときの注意点
自宅で遺骨を保管する場合の一番の注意点はカビの発生です。遺体は800〜1200℃で火葬するため、遺骨はほぼ無菌状態となっています。基本的にカビは発生しにくいのですが、湿気のある場所や風通しの良くないところにおくのは危険です。
骨壷は蓋と器の間に隙間が空いているので、そこから水分を含んだ外気が骨壷の中に入り込んでしまうと遺骨が徐々に湿気を帯びます。そこに空気中を漂っているカビの胞子が付着するとカビが繁殖してしまいます。
また、直射日光の当たる場所も要注意です。骨壷に日が当たったり、日が陰ると冷えたりすると気温の変化があるので骨壷の内部が結露してしまうことがあります。
結露で生じた水分は底に流れ落ちるのでカビが発生する原因となります。スペースの都合で結露が心配な場合はあらかじめ中に吸湿剤をいれるなど工夫をしておくことをおすすめします。
まとめ
遺骨は葬儀を終え四十九日法要まで終了した後に寺院や霊園に納めるのが一般的ですが、近年自宅に遺骨を置いておく方が増えています。
自宅で遺骨の置き方のポイントとしては、カビの発生に十分気をつけることです。
家に仏壇がない場合は、後飾り祭壇をそのまま使用したりリビングに供養スペースを設置しても問題ありませんが、カビ対策のため湿気が多い場所や結露が発生しやすい場所には置かないようにしましょう。
